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釣り場 : 熊本県

Writer : 妖怪熊河童

Residence : 熊本市

Club :

Pride : 渓流ルアー

古代遺跡でバスを釣る(大分、熊本県境の松原ダム湖底)

2013年 7月 9日 18時頃

東京で電車に乗っていた時の事、ふと、この線路溝の排水設備がダウンし、巨大なクリークになったとしたら?文明が滅びない限りそんなことは無いでしょうが、ふと、そこに滔々と清らかな地下水が流れ、その中に泳ぐランカーバスの姿を夢想したことがありました。

話を戻し、2013年梅雨明け間もない松原ダム、今年は特に水位が低く、国道から見てわかるほどの渇水を呈しておりした。例年なら湖底となっている部分の多くが露出し、それはほとんどの部分で渓谷の様相を呈していました。
夏、バスの好ポイントとしてまず思い浮かぶのが流入河川。それが長々と横たわっている訳だから今の内に下調べをしておけばこの夏良い釣りができると思い、梅雨明け直後の7月8日、松原ダム杖立川流入点を求めて温泉街から国道をダムに向かって前進。
その流れ込みは丁度杖立大橋真下あたりに見付ける事ができ、そしてどうやら大分岸に釣り座を求めれば好ポイントを直撃できると見当をつけて斜面を下る。
しかし、数分で早くも後悔した。こちら岸は人跡稀であるらしく、木立の並びから廃道の位置を予測し、ナイフで草を払いながらでないと一歩も前に進めないような難所だった。
湖底は遺跡と化していた。実際の話、そう古い物でもない。放棄されてから精々40年。遺跡と言うには新し過ぎるが、棚田跡を守る堅固な石積の列は十二分にその風格を備えていた。
未だ残る立枯の木からミサゴが見下ろしている。
写真を撮ろうとしたら高く啼いて飛び立った。
「コンドルが飛んで行く」とっさにそのような感想が口を衝いて出た。
そうだ、この風景はインカ文明の古代遺跡にどこか似ている。東京で見た白昼夢、遺跡でのバス釣りは今、目の前に展開していた。

夕暮れが近く、余り長くは釣れない。8cmの試作スロ-シンキングミノーを投げたが、これは良くない、浅過ぎる川底にすぐに引っ掛かる。フローティングに換えた。
瀬尻から淵頭へと流れが変化するその線を攻める。バスはここに隠れているだろう。
最初の一投は早く、投げる度に巻く手を次第に遅くしてゆく。そのまま流して、流芯を過ぎた辺りからゆっくり巻いてもみた。扇形の軌跡を描いて近づいてきたミノーをひと巻き二巻き、その手が急に何者かに止められた。
竿先が水面に突き刺さり、リールが唸りを上げて逆転する。
水面に躍り出た魚影は40up確実に見えた。
バスは流れを利用して下流に突進し、何度もドラグを鳴らしす。
反転する度にメタリックグリーンの魚体がギラリと夕陽を反射する。
幻の古代帝国に輝くエメラルド、数分掛けてやっとそれを手中に収めた。
その日は近くでキャンプし、バスを料理して翌朝を待った。

翌朝、ダムのあちこちを探り歩いてバスを二匹釣る。
でもやはり、あの場所が気になって夕方のラストポイントに杖立大橋下を選んだ。今度は熊本岸を下る。こちらは遊歩道が付いており、下るのは相当楽だった。
17時過ぎでまだ日は高い。川岸に立ち込むと、ガラス細工のような蝦が跳ねまわった。川石の上には無数の鯊が這い、浅瀬に鮎も走る。やはりここは格別なようだ。他の場所とは比べ物にならないほど生命感に溢れている。
昨日の淵を対岸から攻める。ルアーを流れに対し直角に投げ、流れに任せる形で扇形に探ってゆく。流芯を過ぎた辺りでヒラ打たせてまた流す。そのために作ったミノーだ。細く、薄く、光を反射してバスにフラッシュバックを起こさせてやる。奴は鵜に襲われて手負いになった鮎を、何度もそうやって口にしてきたはずだ。

答えはすぐに返ってきた。
一抱えほどの岩をルアーが横切った時、竿が強く絞り込まれ、リールが古代遺跡にアルミニウムの悲鳴を刻み付ける。
炸裂する水面の中心には間違いなくエメラルドの輝き。
少々臆病なほど慎重に引き寄せ、それを取り上げた。
この魚は長さを計ってもみた。43cm、ランカーと呼べる大きさでもない。しかし、これは古代遺跡が埋蔵していた貴重な宝石。その姿を写真に収めてからエメラルドを流れに解き放つ。今日はこれで充分だろう。

紅く色付き始めた夕陽を見上げながら遺跡を上る。昔使われていた細流や小道はそのまま残っていた。地上より、湖底の方が明らかに時の流れは穏やかであるようだった。
次に訪れた時、ここはもう湖底に没しているかもしれない。もしかしたらこれが最後になるかも知れないその風景を一枚撮り、古代遺跡を後にした。
使用タックル
ロッド リョービ・ストリームライン70L
リール ダイワ・レブロスMX2000
ライン サンライン・マシンガンキャスト6lb
ルアー (試作)ルナシューター80










筆者のタックル

トラウトロッド:リョービ ストリームライン70L

スピニングリール:ダイワ レブロスMX2000

ライン:サンライン マシンガンキャスト6lb

ルアー(ジグヘッド含む):(試作)ルナシューター80

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