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釣り場 : 熊本県

Writer : 編集部

Residence : 大分市

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川辺川に春の足音3月1日、川辺川渓流釣り解禁

2017年 3月 1日 0時頃

3月1日、待望の渓流解禁日。去年の解禁日に良い釣りができた熊本県五木村、川辺川へ向け車を出す。里を超え山を登るにつれ、景色は菜の花揺れる春から冬の枯木色へと逆戻りする。それでも、毎年年漁券を買う竹の川集落にも梅の花が見られ、山奥にも春の足音は着実に近づいているようだった。集落よりも少し下流、去年良い釣りが出来た旧道の橋辺りで車を降りる。竹林の合い間から見える流れは青く、オシドリの夫婦が舞い降りて水面に波紋を広げる。岸辺には鹿の足跡、しかし、人が入った痕跡は見られない。時刻は朝9時、燦燦と日光は降り注ぎ、水はどこまでも澄んでいる。釣りにはチト厳しい条件だが大丈夫。今日は解禁初日、しかも、まだ誰も攻めていない場所だ。この時期、アタリが多いのは、流れの緩い淵。しかも、流れが当たる淵頭なら、まず間違いない。ルアーは実績の高いクチボソカラーの自作ミノーを選んだ。釣れるはずである。

しかし、ジンクリアの水中でキラキラ輝くルアーを遮るものは何もなく、ちびヤマメのチェイスすら無い。小1時間釣りながら遡った所で、達人風の釣り人が脈釣りをしていたので状況を聞いてみると、やはりアタリ無しだという。車に戻って休憩しよう。道すがら、フキノトウを摘みながら考える。確実に魚が居るのは、毎年放流のある竹の川集落付近だ。しかし、そこにはすでに釣り人が入っていた。でも、ルアーをやっている人は居なかったから、まだチャンスはあると思う。今居る釣り人が引き上げるタイミングは?…昼食時だろう。春の香りと萌黄色に満たされた魚籠を車に乗せ、集落へ急いだ。

竹の川集落のバス停から川を覗き込んでみると、丁度先行者達が引き上げるところだ。その少し下流から川へ下りる。近くでは、ドンガラと重機が発電ダムに溜まった砂を掘りだしている。しかし、ある程度離れていれば、影響は無い。ヤマメは警戒心の強い魚だが、自分に危害が及ばないと分かった事には無関心なのだ。こういう場所は竿抜けになりやすい。淵の対岸にルアーを真っすぐ投げ、ちょっと流してから巻き始める。キラキラ光るルアーが流心へ差し掛かり、流れの筋から出ようとしたところで銀白色がギラリと反転。一瞬竿に重みが乗ったが、すぐに軽くなる。「バラシたー」。1匹目は釣り損ねてしまったが、まだチャンスはある。こういう場所には魚が溜まりやすいのだ。魚が出てきたのは淵頭のカケアガリ付近から伸びた砂州上であるようだ。その砂州を視線で上流へ辿ると、大きな岩が沈んでいるようだ。その大岩の近くにルアーを投げ、砂州を舐める様に引いてくると、柳葉のような魚影がユラリ浮かび上がってくる。竿先で叩くような動きを数回、ルアーがギラギラと光って横腹を見せると、魚影も白く光って反転した。竿の胴に重みが乗る確かな手応え、バラさないように慎重の上に慎重を重ねて、そっと抜き上げた今年初のヤマメは、雪のように白く輝く魚体に、薄っすらと青のパーマークで化粧をした美魚だった。冷水に磨かれたその姿を見て、心も安らぐ。

すぐ上の淵頭も探るが無反応。やはり一級ポイントは、入念に先行者が攻めた後だった。更にその上流へ目をやると、何もない浅瀬でピチャリと小さな波紋が広がる。ライズかも? 何も隠れるものが無い平場だから、精一杯近づけたとしても15mが限界だろう。それ以上近寄れば、警戒して食って来ない。タラシを長くし、竿を鞭のようにしならせて遠投した。ルアーは狙った所にポトンと落ちる。その周りに更に小さな波紋がいくつか広がった。にわか雨だ。これは願ってもないチャンス、雨は人の気配をかき消し、魚の活性を上げる。流心を流れるルアーが横を向き、水流を受けてギラリと光った。エメラルド色の水中を白銀が一閃すると、竿が深々と曲がった。波立てないよう気を付けながら静かに後退し、砂地へ抜き上げて2匹目を確保。3匹目も同じ手で釣り上げた。

雨が続けばアタリも続く。途中、青系のアピールカラーも試したが、この日はナチュラル系に分があった。水力発電所の排水口では、1ヶ所から3匹引っ張り出すことができた。いつしか雨は上がり、青空が覗く。時間は午後3時、7匹も釣れれば十分だろう。川原に火を起こし、冷えた体を温める。もちろん、火の傍には串に刺したヤマメを立てた。結露で濡れたズボンから湯気が上がる頃、魚も焼ける。上空で旋回していたトンビが、川石の上に置いたヤマメの腸に気付いて舞い降りてくる。遠くに猿の呼び声も聞こえた。なんだか出来過ぎていると思ったが、たまにはこんな絵に描いたような好日があってもいいんじゃないかと思う。ノンアルコールビールを開け、山に乾杯!「今年もいいシーズンになりそうだ!」。

HN/妖怪熊河童・記

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