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釣り場 : 宮崎県

Writer : 編集部

Residence : 大分市

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宮崎日南でシロギスを釣り、現場で料理

2019年 4月 1日 0時頃

そろそろゴールデンウィークの予定が話題になり始める4月、私はというと、連と付く休みが取れるかどうか心もとない。ならば、今のうちに連休気分を先取りしておこうと思い立ち、4月1日、ヒラスズキ絶好釣の声に誘われ、宮崎の日南海岸を目指した。

風は冷たい。しかし、日出ずる国日向の日南の事である。寒かろう筈もない。暮れ行く日を横目に、大きなホテル前の地磯に降り立ったのが19時。波は弱かったが、夜釣りには好都合だ。夜風は冷たかったが、この日だけの小さな冷え込みだと、この時はまだ思っていた。魚の気配は無く、遠くに見えていたヒラ師達の明かりも一つ、また一つと陸に上がってゆく。私も22時、寒さに負けて退散した。

そして翌朝も何の手応えもないまま日は高く昇り、黄金週間先取りの目論見が水泡に帰した現実に直面。それどころか、手痛い4月バカまで食らってしまう有様だ。こうなったら足掻いてもしょうがない。港に行ってみる事にしよう。

日南市の油津港は、以前夏のメッキアジ釣りで訪れたことがある。すでに竿を出している人に釣り餌が買える店を教えてもらい、港の奥にひっそりと佇む釣具店を訪ねる。雑貨屋然とした店の戸をガラガラと音を立てて引けば、ピンポンとチャイムが鳴り、よいこらしょと、女将さんが店先に出て来る。どこか懐かしい感じがする店だ。釣り情報を訊いてみると、今は季節の変わり目で、どの釣りも芳しくないという。そうこうしている内に、地元の常連客らしき人が慌ただしく虫エサを買い求めに来た。聞けば、浜で遠投すれば良い形のキスが上がるらしい。いいことを聞いた。私もそれにしよう。ツケエは女将さん一押しの岩ゴカイ。すぐ近くの赤灯台でキスは釣れるという。現場に行ってみると、燦燦と輝く南国の太陽に照らされた堤防の上には、やはり冷たい風が吹き渡る。風裏を見付けてシーバスロッドを繋いだ。片テンビンにオモリ8号、ハリは9号2本バリ。ミオスジと思える部分に1投。糸フケを巻き取ると、すぐにプルン!と小さくアタった。巻き上げてみると、確かに白く輝くあの魚が見えた。サイズは小さい。しかし、とにかく狙いのシロギスが釣れたんだから、もうオデコじゃあない。

キスはいつも1投目ですぐアタり、後が続かない。おそらく目が良いので、エサが落ちてくるのも、そのエサで仲間が釣られるのも見えているのだろう。投入点を替えながら、少ないアタリを拾ってゆく。この日は掛かれば、ほぼキスだった。他魚はトラギスとメゴチ、ベラ、そして何故か巻貝。釣果が賑やかになってきたところで、昼食がまだであったことを思い出し、釣りを切り上げた。椰子の葉揺れる海岸に立つ東屋の傍で手早く魚を開き、ガスコンロで天ぷらを揚げる。色どりを添えるため、浜の野草も少し添えた。頃合い良く風も弱くなり、ノンアルコールではあるが、オデコ脱出の祝杯を挙げる。揚げたてサクサクのキス天を一噛みすれば、心地良い歯ごたえと、上品なキスの味が口に広がる。ほろ苦い野草も良いアクセントとなり、箸が進む。遠くに投げ釣りの竿が立つのを眺めながらの食事、まさに至福のひと時である。そろそろ夕暮れも近い。近くの河でシーバスでもやってみようか。

宮崎市街に戻り、釣具店で情報を仕入れる。「じゃあ、ここに行ってみようか」と、行動方針も定まりかけた時に襟元を引っ張られた気がした。店内には店主と私だけ。振り返っても誰も居ない。が、その方向は高速入り口だ。これは、何かある気がする。多分気のせいだろうけど。夜、高速を降り、私の地元、熊本市を流れる白川の橋の上まで来た。今日もこの川にはシラスウナギ漁のサーチライトが揺れ、シーバスは釣りにならないだろう?…無い。今日は一つも明りが無い。いつもの釣り場に行ってみると、まるでキツネにでもつままれた様に貸し切り状態で誰も居ない。

何だか出来過ぎな気がする。この状況自体が神話的怪物の仕組んだ罠で、今に水中からガバっと怪物が出てきはしないか?足を引き込まれるんじゃないかと要らぬ心配をしながら、恐る恐る川岸に立つ。考えてみれば、いつも魚を罠にかけて捕食しているんだから、ここに怪物が居るとすれば、それは私自身なのかもしれないが。9cmシンキングミノーを試す。アタリがあってバラシ。9cmフローティングミノーは…、ショートバイト2回。アタリがあれば、もう怪物のことなど忘れてしまう。見えるのは黒い川面に揺れる月、手にはルアーが発する微かな身震い。それは8cmシンキングミノーに替えて数投目の事だった。

竿が突然締め込まれ、目前の水面が割れる。月光を反射して水面に身を乗り出すのは確かにシーバスだ!網を出すまでもなく、ゴボウ抜きにして一挙に取り込んだ。大したサイズじゃない。しかも、最初に狙っていたヒラスズキでもない。しかし、これで私の休日は完璧なものになったと思う。最後は勿論、家に帰ってスズキの洗いでシメにする。そういえば日南の釣り場近くには海宮神社があった。ワダツミの神が、ちょっとだけお慈悲をくれたのかもしれない。これから黄金週間を迎える人たちの休日も幸多からん事を願い、杯を干す。

HN/妖怪熊河童・記
竿が突然締め込まれ、目前の水面が割れる。月光を反射して水面に身を乗り出すのは確かにシーバスだ!網を出すまでもなく、ゴボウ抜きにして一挙に取り込んだ。大したサイズじゃない。しかも、最初に狙っていたヒラスズキでもない。しかし、これで私の休日は完璧なものになったと思う。最後は勿論、家に帰ってスズキの洗いでシメにする。そういえば日南の釣り場近くには海宮神社があった。ワダツミの神が、ちょっとだけお慈悲をくれたのかもしれない。これから黄金週間を迎える人たちの休日も幸多からん事を願い、杯を干す。

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